第103回97年12/21
「満月に降る星」
ふたご座流星群極大
毎年決まった時期に多くの流れ星を見ることが出来る流星群。その中でも特に多くの流星が流れる三大流星群というものがあります。その1つが、12月13〜15日に極大を迎える「ふたご座流星群」です。
冬を迎え、天候不順の日が続く新潟において、なぜかこの流星群の日は晴天に恵まれてしまうという、いわば星空の特異日です。今年も、日中には青空も見えて、期待は膨らみましたが、やがて無情にも上空は一面雲に覆われてしまい、夕刻には車に機材を積み込んで太平洋側へ向かうことを強いられてしまいました。
路面には積雪がないものの、越後湯沢あたりの景色は先日積もった雪が木々にかぶさり、一面雪国の様相です。厚く垂れ込めた雲がまったく切れる気配がないままに、長い長い関越トンネルをぬけると、そこには、一面の星空にこうこうと輝く月がありました。
その日は満月、マイナス13等の輝きが一晩中空を照らし、星々の輝きを消し去ります。見える星は、3〜4等星までで暗い星はほとんど見えません。この様なときは、いくら三大流星群の1つといってもあまりたくさんの流れ星は期待できません。ただ、この群は明るい流星が多く、空高く昇ったふたご座を中心に1等星より明るい流れ星が地面に突き刺すように流れるのが見られます。
水上温泉近くの丘の上に視界の開けた場所を見つけました。まだ、積雪はなくススキ野原が広がり、風のない好条件ですが、気温はマイナス3度を下回ります。
満月に地上の景色や谷川岳に被さるような新潟の雲が照らされ、数少ない星々の中を、時折流れる流星は意外にも多くを数えることが出来ました。深夜1時〜2時頃は、20個ほどが流れたでしょうか。北東の山からしだいに姿を現す北斗七星のそばを、あるいは空高いふたご座に向かうしし座の足下にまばゆいばかりの流星が流れ落ちます。月がなければおそらく100個ほどには達したでしょう。
しばらくして、数の減少を確認して帰路につくと、高速上の車中から金星の明るさほどの明るい流れ星が山に向かって落ちるように飛ぶのがいくつか確認され、後ろ髪を引かれる思いがしながらも、雲が立ちこめる新潟へ向かい、長いトンネルに入ったのでした。
数年前、ふたご座流星群が来世紀中には見えなくなるとの発表があり、驚かされました。しかし、最近は、その活動が増加の傾向にあるとも言われたため、ますます目が離せなくなりました。
満月の夜、水上温泉の彼方にそびえる三国山脈の山々。その上には、冬の天気を象徴する日本海側の分厚い雲が覆い被さっています。
どんど焼きと星空 |