天体ビデオヒストリー

しし座流星雨に備えて2

沼澤茂美

 今年、本当にしし座流星雨のピークがくるのでしょうか。最近のデータでは、来年の大出現の可能性の方が高いと言われていますが、来年の条件(月齢や時間帯など)が良くないことから、今年の観測にウエイトを置く研究者も多いようです。流星雨の正確な予測は難しく、可能性がある限りは十分な準備をしておく必要がありそうです。極大の予定日まで半年を切ってしまいましたから、特殊な機材の調達などは急ぐ必要があります。ビデオで流星をとらえるために必要なI.I(イメージインテンシファイア)を新規に購入される方は、早めに手を打つべきでしょう。
 今回は、I.Iに家庭用ビデオやビクセンから発売されているような小型のカメラモジュールなどを接続する方法を紹介します。I.I.は、増幅した光を蛍光面に結像しますから、その像を適当な大きさで、ビデオカメラの撮像面に導かなければなりません。
 まず、レンズがないCマウント仕様の小型カメラモジュールとI.I.を接続する方法です。この場合は、タンデム型のリレーレンズを構築します。専用のものは非常に高価なので35ミリカメラのレンズを流用してみましょう。I.Iの出力蛍光面の直径が25〜30ミリでCCDカメラのCCDが1/3〜1/2インチ(対角サイズが約5〜8ミリ)だとします。効率よく蛍光面像をCCD全面に導くには、この場合1/5〜1/4の縮小光学系としなければなりません。出来るだけ明るい光学系でリレーレンズを構成するには明るい100ミリ中望遠と35〜24ミリ広角レンズの組合せが良いと思われます。口径(レンズエレメント)は出来るだけ大きいもの、つまり、明るいレンズを選びます。口径が小さいと、CCD上に結ぶ像エリアが小さくなり、けられてしまいます。この方法はだいぶ大げさなものになってしまいますが、像面悪化が少なく、良像が期待できます。ライカをはじめとして最近では、レンズシャッターカメラ用の比較的コンパクトで大口径のレンズも中古市場に出回っていますのでそれらを使用しても良いでしょう。
 多くの方はズームレンズ付きの家庭用ハンディビデオカメラを用いたいと考えていると思います。これらのカメラ、特に、今日主流となりつつあるDV(デジタルビデオ)は、画質が飛躍的に向上し、タイムコード、時間記録がバックグラウンドで行われ、パソコンとの相性も良いなど絶対的な優位性を持っています。これらの家庭用ビデオカメラは、いずれも強力な接写機能を持っているため、I.Iの蛍光面を直接接写するか、又は、簡単な接写レンズを用いるだけで充分なシステムが構築できます。接写レンズは、スチルカメラ用のものが利用でき、カメラのレンズ前面にねじ込むだけですみます。ただ極端な接写は、周辺像の流れなどを生じやすいので注意が必要です。コンパクトさを犠牲にしても良像を得たい場合は、明るい35ミリカメラ用レンズを組合せ、ビデオ本体のズームレンズとあわせて、タンデム型リレーレンズを構成することもできます。この場合は、ズームによって倍率を変更できるので、最良の縮小率を確保できます。
 私は、蛍光面直径30ミリのI.I.とソニーハンディカムPC-10を組み合わせてみましたが、付属レンズの接写範囲で十分な性能を得、非常にコンパクトな撮影記録システムを作ることができました。これで、テレビ放送用素材なども撮影することができます。

1998年 Shigemi Numazawa

 
キャプション1
IIと、小型ビデオカメラの接続

キャプション2
ソニーPC-10にIIを取り付けた小型高感度撮影システム




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